脚本家・山田太一さんの作品から影響を受けていること感じる夜 [My Movies]
脚本家・山田太一さんの作品から影響を受けていること感じる夜
深夜にTwitterを見ていると、八千草薫さんが亡くなったこともあってか、こんなツイートを見つける。「『岸辺のアルバム』最終回で『朝日のあたる家』のラストシーンを思い出した」ーこの方、かなり鋭い。実は「朝日」のシナリオを書く前にあれこれ考え、どんな結末がいいか? と模索していた。最初から決めていたのはブルースス・プリングスティーンの歌「マイホームタウン」の歌詞のような終わりにするということ。
歌では長年住み慣れた街を家族で出て行くので、そのふるさとをトラックの車窓から見つめるというもの。でも、それだけで終われない。主人公たちの心にはいろんな思いが渦巻いているはず。それで思い出したのが「岸辺のアルバム」。あのドラマは最後に主人公たちの家(多摩川沿にある)が洪水で流されてしまう。そこで息子の国広富之が両親に「この家にお別れしようよ」という。あのシーン。涙が止まらなかった。
長年、家族で住んだ家にお別れの言葉。だったら、長年住んだ故郷にお別れの言葉が欲しい。それで考えたのがあの娘2人の言葉だった。パクリではない。過去に見た良質の作品は意識してもしなくても、影響を与える。黒澤明監督はジョンフォードから。その黒澤明はコッポラやルーカスに影響を与えている。ある意味で師弟関係のようなもの。そのエッセンスや技術が受け継がれるのだ。
その「岸辺のアルバム」は山田太一さんが脚本。この方のドラマは10代から見ていた。新聞のテレビ欄で「脚本 山田太一」と書かれていたら必ず見た。「ふぞろいの林檎たち」「男たちの旅路」「沿線地図」「輝きたいの」「深夜にようこそ」「時にはいっしょに」と皆、家族や仲間の物語。凄く影響を受けている。
「明日にかける橋」の主人公みゆき。17歳の越後はる香が演じてくれた。そのキャラクターは僕が考えたのだが、映画完成後、珍しく見てなかった山田さんのドラマ「沿線地図」、ある俳優さんから頂いたDVDで見たら、主人公の真行寺君枝のキャラがみゆき、そのもの。セリフまで同じものがあった。設定も同じ。有名大学に進んで欲しいと強い希望を持つ母に反発する娘。それもかなりの抵抗。家出する。見ていないのに影響受けてる?
それは同じテーマで子供達の未来を考える物語だったからだと思える。そう考えると、同じ「明日」の宝田明さんのキャラは「男たちの旅路」の鶴田浩二演じる吉岡司令補のイメージかもしれない。意識していないが、影響があるはず。若者たちに真剣に説教するオヤジというキャラはとても近い。若い内に良質なドラマや映画を見ておくこと。本当に大事だと思える。
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