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「才能があればやっていける!」と断言していた友人の結末?② [映画業界物語]

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「才能があればやっていける!」と断言していた友人の結末?②
(2014年の記事から)

「もし、映画監督になれたとしても、多くの観客に感動を与える作品が作れるだろうか?」

1980年代前半。僕は映画監督を目指しながらも、そんな不安があった。が、同じ夢を持つ友人の多くは、そんな疑問はないようだった。

「俺に1億円出せば、最高の映画を作ってやるよ!」

自信満々な奴が多かった。が、どんな世界でも、どんな実力があっても、いきなり名作を作ることはできない。ピアニストなら子供頃から厳しい練習を積む。

小説家だって、学生時代から何本も書き続け、何度も賞に応募。出版社に通い、デビューする。俳優だって、料理人だって、職人だって同じ。修行や練習が大切。映画監督も同じだろう。いきなり新人が1億円で映画を撮ったとしても、まともな作品ができるはずがない。ある友人は言う。

「だからこそ、10年間。助監督として勉強して監督になるんだよ」

でも、それも違うと思えた。助監督業。実は僕も経験した。あるとき、業界の先輩に言われた。

「太田は何になりたいの? もし、カメラマンとか照明とか技術部が志望なら、遊んでいちゃいけない。バンバン仕事して技術を学ばなきゃ。でも、監督なりたいなら、仕事していちゃいけない。いっぱい遊んで、いろんなことを経験しなきゃ駄目だよ」

当時、僕は19歳。全ての意味は理解してなかった。が、次第に分かってくる。助監督業は「映画の作り方」は学べるが、「物語を作る」ことは学べない。特に僕の場合は、「脚本も自分で書いて監督したい!」という思いがあったので、まさに先輩の言う通りだったのだ。

いろんなことを経験してこそ、それらの世界が描ける。いろんな人と出会ってこそ、人間を描ける。ずっと撮影現場にいては、狭い世界で暮らすことになり、世間や時代が見えなくなる。ただ、その先輩の言葉を実感として理解したのは、21歳になってからだ....。(つづく)


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