俳優と脚本家は似たような仕事?⑥終=「芸能人って変わってるよな?」「我がままだ」と言われる理由 [映画業界物語]
俳優と脚本家は似たような仕事?⑥終
=「芸能人って変わってるよな?」「我がままだ」と言われる理由
俳優というのは大変な仕事で、あらゆる人に気を使わねばならない。スタッフ、ロケ地の方々。先輩俳優。撮影中は神経がすり減るほど気を使う。その上で、芝居をする。役作りのために集中していても、地元の人が「見ましたよ!この間のドラマ」と声をかけてきたら「ありがとうございます!」と笑顔で答えなければならない。
無視したら、いろいろ揉める。Twitterで悪口を書かれるかもしれない。撮影の邪魔をするかもしれない。本音は「ほっといてくれよ〜芝居してんだから!」なのだ。僕自身でいえば執筆中。そして編集中に同じことがある。こんなことがあった。メッセンジャーで連絡して来た友人がいる。
「監督。おひさしぶり。今度、飲み会します。来ませんか〜」
メッセンジャーというのは、開いてなくても、パソコン画面に表示される。それ見てブチ切れて
「うるせーーーーーーー。今、いいところなんだよーー!!!!許せねーー」
と、その友人をFacebookから「友達」削除したことがある。彼は何も悪くない。僕がネットを止めておけばよかったのだ。でも、想像の世界に入っているともう普通ではない。下手したら、パソコン自体を叩き壊したかもしれない。
そんな状態が俳優にとっては撮影現場なのだ。もちろん、いろんなタイプがいて、本番直前まで冗談をいう人もいる。が、そうではない人も多い。だから、監督の仕事はいかに俳優に集中させて、芝居をやりやすくするか?を考えることだと思っている。
だから、先に紹介したベテラン俳優さん(山本太郎さん)は「太田監督は俳優の生理をよく分かっている」といってくれたのだろう。いずれにしても、表現の仕事とはそういうもの。理解されにくい。でも、そんなビビットな感受性を持つからこそ、俳優たちは素晴らしい演技ができる。
ただ、鋭過ぎる感受性があると、日常生活が生き辛い。有名人やアーティストに気難しい人が多いのは、感じ過ぎる感性を持っているので、一般の人が何でもないことで耐えられなくなるから。でも、まわりは理解できない。
「芸能人って変わってるよな?」「我がままだ」「よく分からない」
有名な人なら「だから芸能人」と解釈されるが、無名だと
「あいつ、頭おかしいんじゃないか? 異常だよ」
ということになる。俳優業も監督業も大変でしょう?
(了)
2019-10-12 14:16
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