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俳優と脚本家は似たような仕事?④ =シナリオを書くときは、タイムマシーンに乗らねばならない? [映画業界物語]


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俳優と脚本家は似たような仕事?④
=シナリオを書くときは、タイムマシーンに乗らねばならない?

俳優はシナリオをもらうと、ストーリーを把握し、セリフを覚える。そして同じような過程で演じる役の趣味や志向を考える。そうやって、その人物に近づいていく。THE WHOが好きな役なら実際にCDを聴いてみる。歌詞を読み、どこに共感したか?考える。

「明日にかける橋」で高校時代のみゆきを演じる越後はる香にはTHE WHOと尾崎豊のCDを渡し、毎日聴くように伝えた。前回の「向日葵の丘」のときは芳根京子らメインの高校生3人には1983年に流行った歌のCDを渡して宿題とした。もちろん、シナリオを書くときに僕自身も当時のヒット曲を聴く。自分を1983年に戻すーまさにタイムマシーンーそこからがスタートだった。当時の風や空気を思い出すことが大事。

そんなことをしながら、いつも「力石徹みたいだなあ〜」と思う。「あしたのジョー」の有名キャラ。自分を追い詰めるために倉庫に閉じこもりボクシングの練習をした。それを思い出す。同じことをした有名俳優がいる。勝新太郎。「座頭市」の原点となる「不知火検校」で盲目の主人公を演じるために、彼は目隠しをしたまま一軒家に長期間住み。生活をしたという。目が不自由な生活を体得するためだ。その意味でもやはり脚本家と俳優は似たところが多い。

そんなことをしていると、やはり日常生活がおかしくなり、社会からズレていく。今では僕のそんなやり方を多くが理解してくれているが以前、まさに過去の世界に戻っている(?)ときに、プロデュサーが電話をしてきたことがある。当時から電話には出ないようにしていたのだが、携帯ではなく、家電の時代。当時の留守番電話はメッセージを録音すると、音が出て部屋にいると聞こえる。

「えーーー***社の***です。どーですかね〜。とりあえず、出来たとこまで読ませてほしいんですけど〜」

構築した過去の世界が音を立てて崩れていく。現実に引き戻され、また何日もシナリオを書けない。全て最初から。霊を呼び出すところからやり直し。まあ、「電話するな!」と当時は言ってなかったのだけど、許せなくて、メッセージ途中で受話器を取り

「てめーー電話しやがってーーー。このバカ。何考えてるー」

と怒鳴ってしまった。深夜の電話でもなく、そのPにとっては仕事。先方から見ると

「この監督。異常だなあ。電話するの当たり前だよ。仕事だから.....」

と思うのだが、脚本を書くとはどういうことか? 製作会社の社員で経験値の低い若手の彼には分からない。いや、ほとんどの人がそうだが、創作するということを想像できないのだ...。(つづく)




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