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俳優と脚本家は似たような仕事?③=シナリオを書くとき、その役がどういう人なのか推理する? [映画業界物語]

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俳優と脚本家は似たような仕事?③
=シナリオを書くとき、その役がどういう人なのか推理する?

「明日にかける橋」のアイディアは12年前に名古屋のサウナで思いついた。妻にも娘にも嫌われている親父がタイムスリップして、昭和40年代へ。その年に交通事故で死んでしまった中学時代の同級生ー初恋の人ーと再会。事故から救うために奔走するという物語だった。

これを最近の太田組スタイルに当てはめてみた。主人公を女子高生にして、交通事故は弟にする。ここ何年も考えていた平成という時代。そして教育問題。親子の絆。そんなことを思いながら、考えていると、僕自身が物語を進めるのではなく、主人公たちが勝手に動きだす。

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母親は田中美里さんイメージ。先生は藤田朋子さんイメージ。主人公みゆき=高校時代は少しキツめのロック少女。前回の「向日葵の丘」の多香子(芳根京子)のような明るさや大らかさはない。そして大人のみゆきは現実を受け入れ、希望を失った女性。お父さんは関西人。そんな家族がどんな生活をし、どんな会話を交わすのか? 作るのではなく、推理していくと物語ができていく。

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そんな作業ができるのは、僕も多少の感受性があるのだろうとは思うのだが、気をつけないと、その感覚がすぐに去ってしまう。電話で話しただけで現実世界に引き戻される。コンビニで言葉を発しただけでアウト。「食パンありますか?」だけでダメ。みゆきたちの住む1989年の世界から現代の東京に戻ってしまう。

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だから、朝起きてから寝るまで、ずっとドラマの世界を想像し続ける。作るのではない、推理するのだ。

「みゆきはどの科目が好きだったのかな? 音楽は何を聞いていたのかな?」

「ローリングストーンズよりTHE WHOだよな? どの曲が好きなんだろう?」
 
「やっぱマイゼネレーションかな?」

「四重人格も好きそうだよな」

「徹夜で2枚組聴いてそうだし」

「日本の歌だと誰かな?」

「斉藤由貴や南野陽子じゃないよね」

「んー尾崎豊かな? じゃあ、好きな曲は? Forget-me-not?」

そんなことを風呂に入りながら、顔を洗いながら、飯を食いながら考え続ける。その辺は直接シナリオには書かない背景の部分だが、考える。この作業も俳優の役作りと同じなのだ。(つづく)




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