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「刑事ドラマ」文法とその進化?=「踊る!大捜査線」を振り返る [映画業界物語]

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「刑事ドラマ」文法とその進化?=「踊る!大捜査線」を振り返る

事件が起きる。警察に通報。刑事が捜査する。犯人を追う。逮捕。それが刑事ドラマの基本。ほとんどがその文法で作られている。が、その中でも進化がある。日本のドラマでいうと「七人の刑事」という名作シリーズがあったが、黄金パターンを作り上げたのはやはり「太陽にほえろ」だろう。

ボス。ベテランから新人までの刑事。それが上気のドラマ文法に従い事件を追う。そのパターンは「大都会」「西部警察」「新宿警察」「俺たちの勲章」「二人の事件簿」「夜明けの刑事」「警視庁殺人課」そして「あぶない刑事」まで70ー80年代に人気の刑事ドラマはほぼ同じパターンだ。それを打ち破ったのが90年代に入って登場した「踊る大走査線」だ。

脚本家の君塚良一は事前に「太陽にほえろ」を研究。要素が3つであることを把握する。

1、刑事をニックネームで呼ぶ
(Gパン、マカロニ、テキサス等。石塚刑事!とはあまり呼ばない。殿下は年下からは名前で呼ばれるが基本、殿下)

2、テーマミュージックに合わせて聞き込み捜査をする。

3、刑事が殉職する。(それでドラマを盛り上げる)

それが「太陽にほえろ」の特徴的スタイルであり、それが刑事ドラマの王道となった。確かに、その後の作品は踏襲している。それを君塚良一は封印。新しいものを作るには過去にやっていたことをやらないことが大切という。

だから、織田裕二の刑事は「青島君」と呼ばれ、深津絵里は「すみれさん」と呼ばれ、いかりや長介でさえ「チョウさん」でも「ゴリさん」でもなく「和久さん」と呼ばれる。テーマソングで聞き込みはしない。誰も殉職しない。(ユースケサンタマリアは殉職か?と思わせて死んでいない)

そうしながら新しいスタイルを持ち込む。それは刑事VS犯人(あるいは暴力団)という基本パターンは残しながらも、「踊る」の本当のドラマは現場刑事VS上層部にしたことだ。現場刑事の奮闘。それを理解せず、杓子定規の指示をする警察上層部。その間にいる所長等のおとぼけ三銃士は責任回避をするばかりで役に立たない。

そんなスタイルの刑事ものはかつてなく、それが「踊る」の爆発的ヒットに繋がる。つまり「刑事ドラマ」ファンだけでない層の支持も得たのである。90年代。日本社会は確立し、バブルで天井打ちして、先の見えない時代に突入した。にも関わらず会社でも、学校でも、古いルールをかざす上の人たちがいて、現場は振り回される。そんな憤りをを感じる視聴者が「踊る」に共感したのだろう。

その新しい構図を引き継いで、さらに進化させ、大ヒットしたのが、あの刑事ドラマである!(つづく)


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