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才能なんて存在しない。大事なのは資質と経験だ=夢を掴むために足掻く若者たち!?(改訂版)            [映画業界物語]

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才能なんて存在しない。大事なのは資質と経験だ
=夢を掴むために足掻く若者たち!?(改訂版)           

高校卒業後、専門学校に通い、映画監督を目指した。同じ歳で、同じ夢を持ち、同じような映画が好きな友人がいた。よく酒を飲みながら、将来について語り合った。

だが、当時の僕は不安だらけだった。平凡なサラリーマン家庭で育ち、親戚に芸能人がいる訳でもない。どこにでもいる18歳が映画監督になんてなれるのか? けど、友人は強気だった。

「俺に1億円出せば、最高の映画を作ってやるよ!」

僕にそんな自信はなかったが、あるきっかけで助監督を経験する。19歳。現場で先輩に言われた。

「太田は何になりたいの? もし、カメラマンとか照明とか技術部が志望なら、遊んでいちゃいけない。バンバン仕事して技術を学ばなきゃ。でも、監督なりたいなら、仕事していちゃいけない。いっぱい遊んで、いろんなことを経験しなきゃ駄目だよ」

僕は「脚本も自分で書いて監督したい!」という思いがあったので、まさに先輩の言う通りだった。いろんなことを経験してこそ、物語を描くことができる。いろんな人に出会ってこそ、人を描ける。映画館に通うだけでは、世間や時代が見えなくなる。でも、友人はこういう。

「才能があればやっていけるんじゃないか? 手塚治虫だって、若くしてデビューしたけど、あれだけ多くの作品を書いたんだ。俺にもそんな才能があるということを信じるしかないんじゃないか? そう、才能があればやっていける」

しかし、その頃から「才能」なんてものが本当に存在するのか?と疑問を持っていた。ただ、当時は「才能なんて存在しない!」と言い切れるほどの確信はなかった。では、今、必要なものは何か? そう考えて、昔から憧れていたアメリカ留学を決めた。海外で暮らすことでいろんなことが見えてくるはず。友人にその選択を話した。彼はこういう。

「そうか、がんばれよ。俺は日本でがんばる。才能があれば、やっていけるはずだ。俺は俺に才能があると信じている」

それから30年。僕は4本目の劇場用映画を作った。僕は若くして監督デビューはできなかった。43歳になっていた。友人は何年か前に東京を引き払い、古里へ戻った。結局、監督になることはなかった。それを聞いた別の友人がいう。

「結局、あいつは才能がなかったんだよ」

でも、それは違う。彼は才能がないのではなく「才能があるから俺はやっていける」と思い込み、努力しなかったことが原因。どんな仕事でも同じだろう。料理人でも、職人でも、ピアニストでも、漫画家でも。努力が必要。特にクリエーターなら、それプラス経験値が大切なのだ。

「才能」なんて存在しない努力と経験が大事。ネットで世間を知ったつもりになってはいけない。自身が経験すること。若い人にはそう伝えたい。(2014年10月)


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