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キャスティング権を欲しがる業界人=製作費をエサに近づいて来た怪しい人物? その魂胆は? [映画業界物語]

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キャスティング権を欲しがる業界人=製作費をエサに近づいて来た怪しい人物? その魂胆は?

キャスティング権を奪おうとする輩の話。前回書いた。簡単におさらいすると、そもそも俳優選びは監督の仕事。撮影現場で俳優と対峙するのは監督だ。自分のイメージする役柄を最大限に演じてくれる人を選ぶ。それが素晴らしい作品になることに繋がる。

にも関わらず、その権利を奪い。俳優事務所対して「お宅の俳優を起用してもいいよ〜」とチラつかせて、接待されたり裏金をもらったり、あるいは恩を売って次に繋げたり、ずる賢く業界を泳いで行こうとする連中がいる。大手事務所にそれは通用する。多くの新人を抱えているので、小さな作品でも自社タレントを出演させるのは魅力なのだ。あるとき、こんな連絡が来た。業界の人間である。

「スポンサーを探していると聞きました。貴社が希望している***社はよく存じているので紹介できます。代わりにそちらの映画のキャスティング権をこちらに頂きたく思います」

プロデュサーは「いい話じゃないですか!」と喜んだが、ちょっと待て!これは怪しい。そもそも、「キャスティング権をくれ」ということ自体が怪しい。それを欲しがるのは俳優事務所に対して優位に立ちたい。恩を売りたい。接待されたいという輩がほとんど。

「スポンサーを紹介する」

という。もし制作費を出資してくれると決まれば、ありがたい。でも、紹介はされたが出資は断られた。それでもキャスティング権をその人に渡さなければならないのだろう。「無事に出資が決まったら、キャスティング権を」とは言っていない。

「紹介する代わりに」

と言っている。その上、スポンサーにアプローチする方法が皆無という訳ではない。相手は大手企業だ。いろんな繋がりを見つけることができるはず。その怪しい人物だけがコンタクトできるということではないだろう。何より「キャスティング権」をよこせ!だ。それを与えてしまう監督というのは映画人失格だ。自分ではない誰かが選んだ俳優と一緒に作品を作りをして、いいものができない。

「この人に主人公を演じて欲しい。この俳優こそ***役だ!」

そう思う役者と仕事することが大事。「製作費を出すから!」と言われても与えてはいけない。ましてスポンサーを紹介するだけで、譲渡するのは最悪だ。Pは「それでも製作費が出れば...」と言ったが、断ることにした。

後日、別経由でその大企業にはアプローチできた。残念ながら製作費は無理だったが、別の形で大きな協力を頂いた。誘いに乗らなくてよかったと思える。キャストはオーディションで僕が全員を選んだ。皆、本当に頑張って素晴らしい作品になった。もし、あの怪しい人に任せていたら、

「何で、この役がこの俳優なの!!!!」

と撮影中、イラつき。後悔し、作品は不満足のまま完成。全てが終わっていただろう。監督が満足できない現場で、素晴らしい作品は絶対に生まれない。俳優の力は物凄く大きい。新入社員を部外者に選ばせるのと同じ。そんな社員が活躍できるはずがない。キャスティングは監督が選ぶこと、とても大事なのだ。甘い餌につられてはいけない。


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