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なぜ、自分たちの街で映画を作りながら、街の人たちは宣伝しようとしなかったのか?=後輩監督からの相談 [地方映画の力!]

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なぜ、自分たちの街で映画を作りながら、街の人たちは宣伝しようとしなかったのか?=後輩監督からの相談

僕と同じように地方映画をよく撮る後輩監督がいる。先日、電話をくれた。

ー「凄いですね。太田さんの映画。『明日』の宣伝、FacebookやTwitterでいっぱい出てますね?」

そう。地元実行委員の方々が毎日発信してくれている。これはとても大事。というのも地元の人は「あの映画。その内に見に行こう!」と思いながら、忙しくて忘れてしまう。いざ、時間ができたときに「さて、今日はどうするかな?」と完全に忘れている。そんなときFacebookやTwitterで情報が流れてくれば「あーこれこれ、観たかったんだよな。今日、行くか?」ということになる。

ー「そうなんですよね〜。なのに僕が映画を撮った街では委員会メンバーは何もしないんですよ...」

よく聞く話だ。映画を作った市民たちが完成したら「終わった。終わった!と、日常に戻ってしまい、宣伝もせず、観客気分で映画の公開を待っている。

ー「まさにそれですよ!市民はみんな映画のことを知っているから映画館に来るよ!とあっけらかんというんです。でも、蓋を開けたらガラガラ。観客が1桁。だって宣伝してないんだから客が来るわけないんですよ」

理由はこう。自分たちは映画がいつ、どこで上映されるか?を知っているー委員会メンバーなんだから当然ーが、一般の人は知らない。その知らないことに気づかない。同じ街に住む自分たちが知っているから、当然知っていると思い込む。だから、何もしない。

ー「その上、映画に関係していない人たちが、客が入らないのは映画が詰まらないからだ。なんていい触れまわるんですよ。ムカつく〜」

その意見はおかしい。彼の映画は試写会をしていない。やって評判が悪いのならとにかく、いきなり映画館で公開して客入り悪いのは映画が詰まらないからにはならない。そのケースは明らかに宣伝不足。映画の存在は多くの市民が認知しているのだから、どこの映画館、いつから?が伝わっていないだけだ。

ー「そうなんですよ。なのに委員会メンバーは『何で客来ないんだろうね?おかしいなあ』とか言って、やっぱ映画が詰まらないのかな〜なんて批判を信じたり。自分たちが宣伝していないことに気づかないんですよ!」

ただ、一般の人。これだけ宣伝が渦巻く時代に生きているのに、宣伝の意味や効果を理解していないことが多い。(だからこそ、大手広告代理に乗せられ、誘導されてしまうのだろう。今の時代でも)逆にいうと、あまりに宣伝が多すぎて、その中で暮らしているので、宣伝は当たり前、誰かがやってくれるものだと無意識に思い込んでいるのだろう。

ー「あーそんなところはありますね。皆、その重要性に気づいていない。宣伝しましょうよというと、皆、今忙しくて時間ない...というんです。宣伝活動が嫌でいう感じじゃない。もう映画できたし、まだ何かするの?って感じなんです」

これも一般の人たちにありがちなんだけど、最初は「映画作るぞ!」と、がんばる。完成したら「できたー」と思って終了。本当はそれからが勝負なんだけど「終わり!」と思ってしまう。別の例でいえば、村で新種の米を育てた。とてもおいしい!で終わり。それを出荷して地元の人。他県の人に食べてもらうことが大事。それこそが目的。なのに、米できた~で完結するのと同じ。

ー「まさにそれですよ。説明したんですけど、皆、よく分からないーという顔で、何なんでしょう?」

これはどこの街というより、日本人全体がそうなんだけど、そして僕がいつも言うことなんだけど、上から与えられたことしかしない。日本の教育はそれ。与えられたことをするだけ。できたら、次はどうするか?を考えない。また上から「次はこれをしてください」と指示が来る。そうしたら動く。

会社に入っても指示されたことをすればいい。その次、そのまた次。それによって何が達成されるか?そんなことを考えなくてもいい教育。上から言われたことをするだけ。だから、優秀な人でも次を考える人が少ない。そんな教育が影響していると思える。

ー「そうなんですかね? 委員会の人は街ニューリーダーと呼ばれて地元アピールに力を入れているのに、映画完成してそれを活用できていないんです」

もうひとつ言えること。その手の地方映画はよく作られるが、映画製作をしっかり勉強せずにやっていないことが多い。また、安易な発想でかかる。以前にも書いたが『市民に協力してもらったから、市民には無料で見せよう』と無料上映会をする。収入はゼロ。その後、県外の映画館で上映ーそれこそが地元アピールの場ーするときになり宣伝費がない。入場料を取れば宣伝費ができたのに....で、地元上映だけで終わることがよくある。市民協力=>無料上映。これでは地元で全て完結してしまう。

ー「ああ、僕の映画も近いことありましたね。委員会メンバーは地元企業の二代目とか、市会議員とか、会議所のメンバーとか、凄い人ばかりなんですよ。映画を勉強しなくても商売として考えれば宣伝が必要なことは分かりそうなもんなんだけどなあ」

でも、その手の人は勉強せず。何かというと市だ、県だ、東京の企業だ。マスコミだとそういうものに頼りたがる。自分たちで考えて行動しない。プライドは高いのに、大きな力に頼りたがる。補助金だ。緩和だ。特別会計だ。そして恩恵をほしがる。楽して利を得たがるところがあるように思える。

その典型が原発誘致。過疎化が進む。村の収入が減る。どーする。国に何とかしてもらおう!原発? 補助金が出る? いいねー。原発を引き受ける。そのリスクには目をつぶる。数年後にはまた財政困難になり2号機申請となる。

ー「そうなんですよ〜。ほんと愚かだなあ。なのに太田さんが映画撮った街。特に今回は凄いですね? 多くの人たちがFacebookやTwitterで情報発信している。僕も地元の人たちに頼んだんですが、皆、なかなかやってくれない。何度も頼んで、ようやく1回ツイート。1回じゃダメなんですよ宣伝は!毎日しないと....」

その通りだ。毎日しないと意味がない。それこそ朝昼晩と1日3回以上しないとダメだ。なぜ、たった1回のツイートをしただけで「宣伝。もうしたよ!」と言えるのか? これも先と同じ。マスコミ関係でない仕事をしている多くの日本人は宣伝というものを把握、活用できていない。だから後輩監督がいくら頼んでも「宣伝。必要あんの?心配性だな。客は来るよ...」と思い動こうとしないのだ。

ー「だから、せめて僕だけでもと1日に10回くらいFacebookとTwitterで情報発信しているんですけど、地元の方はそれをシェアしたり、リツイートすることもしない。そのくせ『監督。がんばってるなあ!応援してるよ』なんていう。あんたらの街をアピールする映画でしょう?お前らががんれよ!と言いたくなる。それに比べて太田さんがロケした街の人たち。凄いなあと思うんですよ。それもメンバーはおばさんばかりでしょう?」

いえいえ、おじさんもおりますが...

ー「大したもんですよ。だから5週間も上映が続く(注・この段ではまだ5週でした。今は7週目)なんてありえないですよ。地元映画なんて普通は1日ですよ。その上、全国でも公開されてるでしょう? 東京はスバル座だし。やっぱ、そのおばちゃんたちが優秀なんですよ!」

おじちゃんもいます...。

ー「ちゃんと映画製作を勉強して、完成が終わりじゃない。そこからスタートなんだと分かっていたですね?」

はい。皆さん。撮影前に勉強会からスタート、がんばってました。

ー「こちらの街はおじさんばかりだからダメだったのかな? 議員さんとか、組合の会長とか、***協会理事とか、偉い人がいっぱいいたのに....やっぱ、おばちゃんの時代かな?」

こちらにもおじちゃん。いますよ...。

ー「とにかく、凄い! 僕も、もう少しがんばってみます」

と後輩は電話を切った。そんな彼の映画。結局、地元の映画館で1週間上映しただけで終了。全国公開もできなかった。「誰かがしてくれるだろう」「国が、県が、東京の企業が」そんなことを言っていると結局、苦しくなるのは自分たち。どの街にもそんなことしか言わない人たちがいる。原発誘致も同じ。

自分たちの街のことは自分たちで考え、行動する。それを静岡のおばちゃんたちは実践したのだ。考えて行動すれば未来は変えられる.....あれ、どこかで聞いたセリフ。それをおばちゃんたちは証明したこと。改めて感じた。(もちろん、おじちゃんたちも)

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