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「妖怪と人間は仲良くしてはいけない」という鬼太郎の言葉に共感 [10月ー2018]

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 Facebookを見ていると、ちょうど数年前に自分が書いた記事が出てくる。本日は3年前の記事が出てきた。それを読むと僕はめっちゃ怒っている。再録してみよう。

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基本的にこのFBは僕の映画を応援してくれる人たちへの進展報告。或いは、その映画を知らない人たちに「見たいなあ!」と思ってもらうための告知活動と考える。

だが、「友達」承認をすると、「野菜が足りませんよ!」「そんな薬は飲んでは駄目!」とか、プライベートについてコメントしてくる人がいる。また、記事の意図とは違う勘違いな批判をしたり、上から目線で「分かってないなあ〜」「考え過ぎなんじゃないのぉ〜」という無神経な書き込みもある。

アドバイスのつもりなのだろうが、ほぼ全てが当て外れ。会った事もなく、経歴も知らない人たちからの説教は必要としていない。そしてFacebook上の議論をするつもりはない。その種の無神経なコメント、批判は警告なしに削除。これまでは我慢していたが、酷いものは「友達」からも削除させておらう。

その種の説教は身近な方々にして上げてほしい。ここでは「Facebook友達」であることをご理解の上でコメントしてほしい。すでに「お友達」になっている方は良識ある方が多く感謝しているが、新たにお友達になる方。了解の上でお読み頂けるとありがたい。(2015年10月)


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 あれから三年かあ。この頃は本当に大変だった。毎日のようにあれこれ説教コメント。健康について、言葉使いについて、考え方について。上から目線で、それじゃダメだ。反省した方が、注意しなさい。

「お前は俺の何だーーー!」

と怒鳴りたくなるコメントの連続。もちろん、会ったこともない人。プロフィール写真さえ動物の写真。生年月日も記していない。住居もどこか不明。そんな奴にあれこれ言われたくない。頭に来てブロックまでした。本人は親切のつもりなのだが....。そうしたら、また別の人が

「そんなに狭い心では、一流監督にはなれませんよ」

とコメント。その人の基本データを見る。映画界とは無関係。普通の主婦だった。「あんたに映画監督の何が分かるのぉ!!」でまたブロック。そんなことが多発。それから三年。最近はその手がなくなり、本当に感謝。しかし、その構図は今も変わっていない気がする。

 三年前に書いたことは、マナーの悪い人がいて迷惑したという話ではない。映画監督がFacebookやってる「おもしろそー」と近寄ってきた。ら、当時の僕は垣根を作らず、誰とでも普通に接した。相手は思う。

「監督って怖い人かと思ったけど、いい人じゃない?」

親しみを持つ。毎日の記事を読んでいると、意外にしっかりしておらず、心配になる。何か無茶なことを記事に書いたりする。大丈夫かな? 気づいていないんじゃないかな? 健康にも無頓着だし、一言注意して上げよう。とコメントする。まったく悪意はなく、善意だけでの助言である。僕も大きなお世話とは思うが、最初は怒らずに感謝する。「じゃあ、これからも応援して上げよう」とその人たちは思い、助言コメントを繰り返す。その人たちは近所のおばちゃんのように、あれこれ言いたくなる。いろんなことを言い出す。

細かなことまで注意。自分の知らない映画の世界のことまで、あれこれ指示するようになる。僕の方はいい加減うんざり。あれこれ言われるのが一番嫌い。まして、その人たちが映画の世界の人間ではないことは分かっている。明らかに何も知らない。にも関わらず、間違ったことも言ってくる。押し付ける。プライベートまで口を挟む。食べ物。言葉使い。考え方。上に書いた通りだ。

多少でも頷けるところがあればいいが、全く当て外れ。想像でものをいう。最初は返事をしていたが、数が増えて行く。そのために毎日数時間。僕は爆発し、その人をブロック。あるいは「友達」から削除。特にシナリオを書いているとき、編集中は普通の状態ではない。そんなときにあれこれ言われると、いや、注意でなくても、連絡してくる自体が許せない状態だ。ただ、異常心理状態であることは、その人たちにはわからない。こうして僕は

「コメントはいりません」「交流が目的ではありません」

と繰り返し告知することとなる。多くの人はそれを理解。あれこれ言わずに記事を読んでくれるようになった。「偉そうによう〜」と思われ「友達」が減るかと思ったが、もの凄く増えている。要は

「映画監督。おもしろそうだな。コメントしてみよう!」

というタイプや、先にも書いた「この監督さん。頼りないわね〜。気づいてないこと多いから注意して上げよう」という親切タイプだったのだ。でも、その人は正しいことを言っているつもりでコメントしても、映画界の価値観からすると、間違っている場合。

また、世代によって違う価値感もある。コメントする側は悪い人ではないが、長年生きてきた人生を省みても「これは正しい」ということを書き込んでいる。でも、こちらから見ると間違ったことを押し付けてくるばかり。まして、会ったこともなく、プロフィール写真は動物。覆面をかぶった人に説教されているようなもの。素直に聞けるわけがない。不気味でさえある。で、「てめー俺の何なんだ!」となり「友達削除」。

最近はFacebookでそんな手の事件はほとんどない。あ、最近も一度あったが、かなり減った。が、これはネット上だけのことではない。現実社会でも同じなのだ。撮影時、舞台挨拶時に1、2度会った方からメールをもらう。電話をもらう。手紙を頂く。

「***会に参加してください」「****に賛同してください」「寄付をお願いします」「芝居を見に来てください」「シナリオを読んでください」

彼ら彼女らとはFacebook友達と違い面識はある。相手の住居も分かる(名刺をもらうので)といって、上記のような連絡。たくさん来るので、1つ1つにお返事できない。でなくても、いつも仕事で忙殺。やるべきこともやれない日々。過労で倒れて、何週間も寝込む。そんな事情は僕のFacebookやブログを読んでもらえば分かる。にも関わらず、時間やお金を使うことを平気で要求してくる。こちらの事情を知ることができるのに、あるいは知ろうとせずに、あれこれ要求してくるのはどうか? でも、それらの多くはお構いなしに頼みごとをしてくる。でも、手紙を出しても返事なし。電話をしても留守電。メールも反応なし。

「失礼な人だ。馬鹿にしている!」「駄目なら駄目で返事をするべきだ!」

と思うだろう。それは正しい。しかし、その前にこちらの事情を知り、考えてほしい。それをせずに、

「あんな素敵な映画を作った人だから、いい人だと思ったのに裏切られた! 返事もない。無視された」

と思う。あるいは

「撮影であれこれ、お手伝いしたのに、一度の現場で挨拶されただけだ。せめてお歳暮とか、礼状くらい出すべきだ」

と考える人もいる。結果、

「私は利用されたんだ・・・」

こうして恨まれることになり「え? なんで、この人。撮影時にお世話になったよな」という人が僕の悪口を言っていたりする。映画製作では多くの人にお世話になる。が、その1人1人全員に僕個人はお礼はできない。それを真剣にやると、膨大な時間と費用が必要だ。

監督業はそれより、撮影を終えたら早くより良い作品にするために編集作業に入ることが重要。編集を止めてお礼状を書いたり、お歳暮を贈ったりするのは違う。それ以前にお世話になったところは、製作担当が挨拶に行く。だが、こんな人もいる。

「それでは十分ではない。監督や俳優もお礼にくるべきだ」

これって、ホンダの車を買ったときにディーラーの担当者が「ありがとうございました」というだけでは不足。ホンダの社長が来ておお礼をいうべきだ。というのに等しい。

また、会って挨拶するだけで十分という人もいれば、家まで訪ねてきて礼をいうべきという人もいる。その上で、ハガキで礼状を出すべきという人もいる。撮影終了の1ヶ月後に訪ねて。感謝を伝えるのが大切という人もいる。年齢、地域、業種によって、いろんな形がある。だから、ある人は「十分です」といい、ある人は「感謝が足りない!」という。こうして、自分の思う形の礼がなかった場合に

「失礼だ!」「見損なった!」「裏切られた!」「踏みつけられた!」

と怒り出す人たちもいる。映画製作なのに、自分たちの業界の慣例を持ち込み批判したり。近所付き合いと同様の対応を求めたりする。でも、そうは行かないことが多い。例えば、連絡をもらったら返事する。お誘いを受けて行けなければ断る。というのは常識だ。が、芸能界や映画界。俳優やタレント。そして映画監督もそうだが、そんな連絡が山ほどくる。対応できない。やることは山済み。それよりも、よりよい映画を完成させることが、応援、協力してくれた人への感謝。なのだが「返事をしないのは失礼だ」と怒り出したりする人がいる訳だ。

この構図と先のFacebook事件は非常に似ている。そもそも、映画の世界と、一般社会のルールや価値観。慣習はかけ離れている。国が違うほど違う。国と国との交渉で揉めるように、あるいは海外へ行くと日本人が戸惑うように映画界と一般社会は別。かならず摩擦や軋轢が生まれる。国が違うならそのことを皆、理解するが、同じ日本人同士。日本という国なので、それに気づかず。自分たちの価値観を押し付けてしまうのだ。どちらが正しいではない。一般社会と映画界は違うのだ。

そんなとき。「ゲゲゲの鬼太郎」というアニメを見ていて気になるセリフがあった。鬼太郎ー妖怪ですーがこういう

「妖怪と人間は仲良くしてはいけないんだよ」

妖怪は特別な力を持っている。時には人間を助けたりするが、決して仲良くできない。必ずもめてしまう。だから、距離を置くべきなんだという鬼太郎の言葉だ。

映画人って、妖怪に近いのかもしれない。いや、映画人でも技術スタッフなら一般的な付き合い方ができるだろう。俳優とか芸能人。そして映画監督とか作家が妖怪とイーコールなのだろう。

それはそうかもしれない。僕はすでに俳優やスタッフとは一線を引いている。仕事以外では会わない。馴れ合いになり、互いに甘えないためだ。これはかなり前から実践している。が、一般の人には、特に距離は置かないで来た。

それこそ一度、感謝を伝えて終わりではなく、機会あれば、街の近くに行けばご挨拶に伺う。が、それもいけないことだったのかもしれない。A市に行くと近所のB市の人に

「なぜ、こちらには来てくれない....」

と恨まれる。B市に行くと「C市もお礼に行くべきだ」行けないというと「感謝が足りないなあ」と言われる。お礼に行くことでトラブルが起こるのだ。前にも書いたが、デビッド・ボウイやウッディ・アレンというアーティストは人嫌いと言われ、インタビューもなかなか受けない。

それは人と関わることで、いろんな軋轢が生まれてしまうのを避けているのかもしれない。もちろん、有名人や芸能人ならそうだが、僕のようなしがない映画監督でも同じなのかも...。

「無名の監督でやんす〜」

と思っていても、向こうから見ると「おー映画監督。有名俳優と仕事してるんだ〜」と興味を持ってくれる。有名女優の裏話を聞かれる。多くがワイドショーのノリで、プライベートにどんどん踏み込む。そんな風にFacebookでも、現実の世界でもトラブルが起こる。興味を持つ人たちは罪がない。が、その人たちの要求に応えていると、こちらも大変。鬼太郎の言うことが正しいのかもしれない...。

矢沢永吉は芸能界での交流は少ないと言われている。家族と、バンド、会社、それだけ。歌手仲間と交流したり。そんな話はほとんど聞かない。ある人はいう

「あれだけ有名で、金持ちなのに、彼は孤独。友達呼んで飲みに行ったりとかしないと聞くよ」

そうかもしれない。あるベストセラー作家も、こういう。

「友達とは数年に1回しか会わない。何度もあっていると嫌いになるから、大切な友人とはなるべく会わない」

ま、アーティストがわがままというのもあるだろう。が、一般の人には理解されない部分が多い。結局、トラブルになる。悲しい思いをする。相手も自分も傷つく。何だか、そういうことなのかもしれない。僕のような無名監督レベルでも、そうなのだから、国民的アーティストとか、有名俳優とかになると、すごいことになるんだろう。若い子はいう。

「有名になりたい!」

が、有名ということがいかに大変で、孤独なものか?想像できないのだろう。1人でコンビニにも行けない。変装せずに街も歩けない(高倉健さんなど、変装してもバレるだろう)、自分を利用しようと、もみ手でやってくる人ばかり。誰が信頼できるか? わからない。昔の友達も信頼できない。あーそういえば、友人で大ブレイクした奴がいて、しばらく変だった。「もう誰が味方で敵か?わからない」といっていた。

それが有名になるということ。その代償。まあ、僕なんか全然そこまで行かないので平気で街を歩ける。とはいえ、ロケ地を歩くと、すぐに「監督!」と声をかけられるので、本屋でエロ本の立ち読みもできないことがあったが、ま、その程度。でも、

「あの監督。あんな素敵な映画を作るから、人としても、素晴らしいはず!」

とか勘違いされて「頼みごとは絶対に断らないよ〜優しい人だから!」と思い込まれていたのに、断ると

「裏切れた〜酷い....あんな冷たい人とは思わなかった....」

と言われたことになる。誰も悪くないのに、好意や感謝からスタートしているのにトラブルになり。傷つけ合う。相手を怒らせてしまう。やはり、僕らは妖怪に近いのだろう。映画作りを続けていくということは、まわりとは距離を置き、孤独に耐える.....ということが大切なのかもしれない...。

映画監督や俳優を目指す若いみなさん。これが「有名になりたい」と、あなたたちが思う職業の現実。それでもがんばる!という人。がんばってほしい。



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