メイキング編集はつづく⑥ 日本映画界のメイキング現場とは? [映画業界物語]
今はどの映画も予算削減で苦しんでいる。テレビ局が製作する超大作は別にして、特に小品と呼ばれる作品は様々な形で製作費を抑える。メイキングはDVD化するときに「売り」となる重要アイテム。その映画がどのようにして撮影されたか?を見ることができるドキュメンタリー。DVDを購入する映画ファンにとっては楽しみのひとつ。
だが、製作サイドはそのメイキング費用もなるべく抑える。例えば、現場にホームビデオ用のビデオカメラを置いておき。手の空いたスタッフがまわすという作品もある。ただ、手が空くのはそれなりのシーンで、ここぞ!という見せ場は皆、忙しくて誰もカメラをまわせず。「え? 何であのシーンないの?」ということになる。
ある映画ではプロデュサーがメイキングカメラをまわしていた。なので、映るスタッフは誰も嫌な顔をしない。本来、メイキングはお邪魔虫でスタッフに嫌われる存在。本編撮影の現場をウロウロされてはたまらない。だが、プロデュサーが撮影しているので、皆、除けて撮影しやすいように協力する。
が、多くはカメラが下手。ただ、撮っているだけのものが多い。ドラマティックがない。撮影現場の中継のようなもの。プロデュサーは人扱いや金を扱いが仕事。カメラがうまい人はなかなかいない。やはり、メイキングはディレクターの仕事だ。
そんなふうに毒にも薬にもならないメイキング映像はプロデュサーが撮っていることが多い。でも、Pや手の空いたスタッフが撮影すればメイキングの人件費がいらない。感心でることではないが、そうやって節約するのである。
それで良質のメイキングは絶対にできない。単なる人件費節約だ。が、批判ばかりしていられない。今回の作品は予算削減に厳しく見舞われ、本編の予算を減らして映画自体のクオリティを下げるより、メイキング等の付加的なものの予算を下げることにしたもの。そのために安価なギャラで頼める映画学校の学生君を雇うことになる。
というか、そのギャラで手を挙げるプロがいなかったのだ。それでもメイキングはカメラがまわせ、映画撮影というものを理解していれば出来る仕事。僕も18歳の映画学校時代にプロの現場でメイキングをまわしたことがある。のちにあるイベントでも上映された。今の学生にだって出来るはずだ。
情熱のないプロより、やる気のある若者の方が期待できる。
が、その期待は大いに外れ、その学生君が撮った映像を殺意(?)を感じつつ現在、編集している。カメラが下手とかいうことだけではない。彼がなぜ、「考える」という行為をしていないか?に怒りを覚える。ただ、それが現代教育を受け育ったよくいる若者だということも分かってきた・・・・。
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