ありがたいけど、危険も多い? 一般の方からの応援宣伝 [映画宣伝入門]
先にも書いたが映画の宣伝費というのは高額。小さな映画の場合。十分な額を準備できないことが多い。そんなとき、ファンや一般の方からの応援というのはありがたい。情報をツイートしてくれたり、記事をシェアしてくれたりして、映画の存在を広めるお手伝いをしてくれる。だが、難しい一面がある。例えば、これはどうだろう?
「映画の応援をしたいです。趣味で作詞作曲をしています。ギターを弾きます。映画の主題歌を作りました。これを日曜に公園で歌い。映画の宣伝をします」
ーさあ、どう思うかな?
これはアウト。その人は応援のつもりでも、その映画の主題歌を勝手に作るのは著作権法で違法行為になってしまう。何よりも、その歌は映画では流れないので、主題歌ではない。こう考えてみよう。ディズニーの新作映画が公開される。とてもいい映画だ。だから応援のために歌を作りました。♫「リメンバーミー。とてもナイスな〜映画だよ〜」と公的な場で歌ったり、YouTubeで流す。確実にディズニーから告訴されてしまう。
それと同じ。どんなにその人が善意で、応援だと思っていても、それは違法行為。便乗商法と言われてしまう。映画は著作物。それを管理者に無断で利用することは法律で禁じられている。歌だけではなく、その物語、タイトルロゴ、スチール写真、ポスター、チラシも全て著作物。それらを無断で手を加えて新たなポスターを作ったり、チラシに別のデザインを加えて配る。スチール写真に文章を書き込んでチラシを作る。みな違法行為になる。
ーこれはどうだろう?
「私の街で映画撮影がありました。友人もエキストラで出演。その場面をデジカメで撮りました。映画を応援したいので、その写真を引き延ばし、独自のポスターを作り。タイトルを入れて街角に貼り出しました。多くの人に映画を観てほしいです!」
残念だが、これも違法行為。また、本来とは違うイメージのポスターを作っても宣伝効果は薄い。以前にも書いたが映画宣伝は統一イメージが大事。それに間違ったイメージが伝わったり、プロが作った映画ではなく、一般の人が作った自主映画であると誤解されたりする。応援ではなくなってしまう。
ただ、この手の人は本当に純粋で、何か自分にできないか?と考えて、行動してくれたことが多いので、むずかしい。注意すると「せっかく応援してんのによー!」と怒らせてしまったり、その後、一切応援をしてくれなくなったりする。でも、それらの人は悪意の全くない人、むしろ親切で熱い人であることが多い。だからむずかしい。そして最終的にはこう言われる。
「映画宣伝はよく分からない。だったら、もう何もしない方がいいよね?」
悲しい話だ。地方映画でよくあるのは、関係者が何もせず、関係ない人ががんばって応援してくれること。中には暴走してしまう人がいるが、何もしない関係者と、暴走するが愛ある人。どちらがいいのか? 考えてしまう。とにかく、言えることは、個人で何か別のものを作るのは止めてほしい。宣伝のために配給会社がチラシやポスターを作っている。それを配ったり、貼ったりということで十分にありがたく、応援になる。毎回、そんなことを考えながら宣伝活動を続けている。
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