SSブログ

映画宣伝は映画館公開日から逆算してスタート。戦略が大切! [映画宣伝入門]

29790329_1874208159320146_6695815924720626340_n.jpg

宣伝が溢れている。テレビ、新聞、雑誌、ネット。街を歩けば看板。だから、多くの人は麻痺して宣伝というものを把握できなくなっている。例えばテレビCMを見る。「あー歌手の***が出ている。可愛いー」と思う。それは繰り返し放送される。が、いつしかオンエアは終わるのに、多くの人は終わったことに気付かない。それどころか、そのCMの存在すら完全に忘れてしまう。何かの拍子で「あの歌手のCM」と言われて「あー、そんなのあったなあ!そういえば、最近は見ないね?」と思い出す。

つまり、情報を受ける側というのは、真剣に見ていない。意識していないということ。すぐに忘れてしまう。それも完璧に忘れる。ドラマやニュースだと、しっかりと覚えているが、宣伝はしっかりと把握しない。そんな多くの人たちに商品を覚えてもらおうと宣伝マンたちは日夜努力。心理学や思想操作も利用して宣伝をするのが広告代理店。アメリカでは選挙のときに代理店を雇い、候補者のイメージ戦略を行なうほどだ。宣伝は大事なのである。


P1030041.jpg

映画の場合も同じだ。大作映画の場合。宣伝活動は1年前くらいからスタートする。が、ほんとうにジワジワと始め、公開の3ヶ月前から盛り上げる。通常の映画は3ヶ月前。これが基本だ。あまり早くから大宣伝すると、結果、公開の頃には忘れられている。例えば絶対に見たい映画があっても、半年先だと覚えていない。1ヶ月くらいならカレンダーに丸を付けて待つが、何ヶ月も先だと厳しい。

また、何ヶ月も前にバンバン宣伝してしまうと、人々は「そろそろ公開か!」と期待する。が、何ヶ月経っても公開されない。ようやく公開されたときには忘れていて「まだ、上映してなかったのぉ〜」と思え印象が悪くなる。以前にある超大作映画が何ヶ月も前から大宣伝して、皆すでに見た気になってしまって惨敗したということもあった。

本来、映画の宣伝は3ヶ月前ほどにスタート。最初はジワジワ。公開が近づいて来ると、マスメディアで紹介が始まり、宣伝イベントがあり、ポスターが貼られて、映画館にチラシが置かれて、テレビスポットが1週間前から流れ、前日の新聞に広告が出る。公開当日は俳優たちが来て舞台挨拶! というのが基本である。

つまり、舞台挨拶の日に最高潮に盛り上がるように計画。少しずつ宣伝が増え、大きくなることが大事なのだ。ゆるやかにスタート。公開初日が最高潮である。これがスタート時に大宣伝したり、公開直前で宣伝がもり下がったらアウト。少しずつ大きくとなっていく波に観客を乗せるのが宣伝なのだ。

P1030051.jpg


以前にある街で作った映画。プロデュサーが映画館で試写会を1日だけやると言い出した。「宣伝になりますよー。マスコミも呼びましょう〜」と、試写会は別に行なうが映画館での一般試写もありだ。が、映画公開の1ヶ月前の試写なのに、出演者全員を地元に集め、舞台挨拶をさせるという。そんなバカな話はない。というのも、そのプロデュサーは映画業界初心者で、宣伝の基本が分かっていなかった。

舞台挨拶というのは最大の宣伝カード。有名俳優たちが一同に集る。それを目当てに観客とマスコミが来る。そんな大切なカード。それを公開1ヶ月前に使ってどうするの?1ヶ月前の試写会で俳優が集れば、マスコミはそこで取材。記事やニュースを出す。

それを翌日に見た人は「この映画観たい!」と思っても1ヶ月先にしか映画を見れない。その内に映画の存在も忘れる。Pはいう「だったら、公開初日にも舞台挨拶すればいいんですよ」だが、マスコミはもう来ない。同じ記事を二度は書かないーそれがマスコミだ。その日に記事やニュースになれば、それらを見た人が翌日に映画館に来てくれる。多くの客が期待できるが、2度目なので記事にはならない。宣伝にもならない。

つまり、大きなチャンスをみすみす捨てるのが、1ヶ月前の試写会=舞台挨拶というイベント。何考えてんのぉ! そもそも1ヶ月前に舞台挨拶をする意味がまるでない!というとPは「マスコミが喜びますよぉ〜」と答える。うーーん。マスコミを喜ばすために舞台挨拶をするのではなく(そもそもマスコミは喜ばない。記事になりそうだから来てくれる)、彼らに取材して報道してもらうことで、翌日から多くのお客に来てもらうことができる。それが意味。翌日は上映しない試写に舞台挨拶しても何の意味もない。

Pさん。映画業は初体験でその辺が分からない。2倍宣伝できると思ったらしい。さらにそんな無意味なイベントとのために、その街まで7人ほどの俳優を新幹線で連れて行く、どれだけの費用がかかるのか? メイクさんも雇い、連れて行かないとならない。そのギャラと交通費。さらに全員の食事代。新聞に出ても観客動員に繋がらない試写会のために、多額の費用を使うのは意味がない。


P1030045.jpg


Pには全力で説明したが、理解できないようだった。でも、結果、試写会の舞台挨拶は中止。公開初日のみとなった。そこへ多くのマスコミが訪れ、新聞記事にニュースにしてくれて、翌日はそれらを見た人たちが大勢映画館に来てくれた。大成功だった。

つまり、Pさんは何でもいいから派手な宣伝をすれば、アピールすると思っていたのだ。が、宣伝はカードを出す順番が大切。舞台挨拶という最大のカードを公開日の1ヶ月前に切るのは間違い。最大のカードは公開日に使うことが大事なのだ。同じように、何ヶ月前から派手な宣伝をすることはマイナス。少しずつ盛り上げる。波を作る。それによってジワジワと映画の存在を伝えて行く。覚えてもらう。全ての終着点は映画館での公開初日。

その日が決り、映画館も決まってからが、本格的な宣伝のスターとなる。そこから逆算して、宣伝戦略を立てる。映画宣伝も選挙も、新製品の発売も同じ。それが宣伝の基本なのである。


明日スクエア_edited-1.jpg
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。