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映画の宣伝って映画館がしてくれるの?テレビがするの?ー誰もしてくれません!という話 [映画宣伝入門]

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映画作りについては映画ファンだけでなく、一般の方でも結構ご存知なことが多い。どのように撮影が行なわれるか? 現場にはカメラマンだけでなく、照明やメイクの担当者がいて、大騒ぎしながら撮影することも、多くの人がご存知。ただ、映画ができたあと。映画館公開時の宣伝というと、意外なほどみなさんご存知ないことが多い。

以前、市民の皆さんと映画を作っていたときも、撮影ではもの凄く奮闘してくれたのに、完成すると皆「公開が楽しみです〜」と観客になってしまったことがある。えーこれから宣伝活動なのに〜と思ったが誰も手伝ってくれないで大いに困った。映画だけではなく、商品というのは何でも宣伝が大切。宣伝することで商品を買ってもらえるし、映画を観に来てもらえる。なぜか、そのことを認識していない人が多かったのだ...。

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宣伝は大切だ。テレビを見れば1日中、コマーシャルが流れているし、新聞、雑誌には広告。ネットだってクリックしなくてもガンガン広告が流れて来る。外に出れば立て看板。電車の中は吊り広告。どこに行っても宣伝が溢れている。日本人はそんな中で生活しているのに、映画が完成したあとに「次は宣伝だ!」という人はあまりにいない。

何人かに聞いてみると「えー宣伝〜?考えなかった〜」或はこうだ「テレビが宣伝してくれるんじゃない?」「新聞で広告出してくれるんでしょう?」「誰かが宣伝してくれるんだよね〜?」という答えでビックリ。確かに映画が公開されるときは、テレビでバンバンスポットが流れるし、新聞や雑誌に広告が掲載される。でも、あれは全てお金を払っている訳で、テレビや新聞が自主的に無料で宣伝してくれる訳ではない。

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考えたら分かると思うのだけど、ほとんどの人が「宣伝」という概念さえなかった。それも仕方がないところがあるのは、あまりにも広告が溢れているから。テレビでも、新聞でも、ネットでも、広告だらけ。その渦の中にいると、宣伝されるのは当たり前!と無意識に感じてしまうのだ。でも、当然、宣伝というのは全てお金を払ってやってもらうもの。誰もタダで宣伝などしてくれない。なぜ、それに気付かないのだろう?

というのも、テレビを見るのはタダ。(ケーブル、衛星、NHKは別だよ)CMが勝手に流れて来る。自分は金を払う訳ではないが、バンバン宣伝が流れる。その環境が当たり前になる。例を上げよう。親が働いて生活費を稼ぐからこそ、子供たちはごはんが食べる。なのに子供たちはそれが当たり前と思いがち。そう、日常に埋もれると、その理由を考えずに、その環境を当然だと思ってしまうところがある。

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テレビで放送されるCMは、メーカーが高い製作費を払って作り、さらに高い費用を払ってテレビ局に放送してもらっているのだ。それを見て僕らはその商品を購入。その代金の中にCM料が入っている。知らない間に高い料金を払わされている。それに気付かない。同じように映画のスポットが流れるのは配給会社が高い広告料をテレビ局に払い、流してもらっているのだし、新聞社に広告を載せてもらっているのだ。

広告料を払わないで、テレビも、新聞も、雑誌も、ネットも宣伝などしてくれない。なのに、多くの市民映画は完成すると「ばんざーーい。公開が楽しみ〜」と思ってしまう。「誰かが宣伝してくれるよね〜」ならいいが、宣伝ということを全く考えない人の方が多い。これはその人たちの問題というより、いかに宣伝の中に日本人は埋没し、麻痺しているか?ということなのである。

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「公開楽しみ〜」といって何もしないで、惨敗した映画を何本も知っている。だってテレビも新聞も金を払わずに宣伝してくれる訳がない。当然、上映されることは伝わらない=>客が来ない=>惨敗。でも、地方映画で十分な宣伝費がある映画はまずない。映画製作だけで精一杯というのが通常だ。では、どうすればいいのか? 僅かな宣伝費で最大限の宣伝をするには?僕はこの10年。試行錯誤しながら、それを実践して来た。

その話は以前にも何度も書いたので、僕が監督した映画のブログのカテゴリーで「宣伝」という項目をクリックしてほしい。ただ、もうひとつ大切なことに気付く。戦略だ。方法論。もし、宣伝費が十分にあっても、これを間違うと大変なことになる。宣伝費が少なければ、よりそれを大切に推進する必要がある。それは時代にも左右される。そこを考えたい。

1970年代後半からは角川映画に代表されるように、物量作戦。嫌というほどテレビでスポットを流した。「母さん。あの帽子...」とか「お父さん。怖いよー」とか「カイカン!」とか誰もが覚えるほと宣伝し、業界の多くのが追随していた。が、1990年代に入り、同じ方法論でヒットしない映画が出て来た。物量宣伝だけではダメ。そう、角川の功罪を踏まえていない。テレビでバンバン宣伝するから、あの当時は観に行った。が、次第に、大宣伝する映画の全てが面白い訳ではないこと。退屈な凡作であることも多いことに観客は気づき始めたのだ。次回はそんな話をしてみたい。


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