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過労と言う名の奈落に引きずり込まれる日々 [「明日」撮影]

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撮影が終わり1週間くらいは元気いっぱいで、後片付けしたり、映画見たりしていたのだが、10日を過ぎたあたりから急激に体調が悪くなり寝込んでしまう。何かの呪い....ではなく、これがいつもパターンなのだ。つまり、撮影終わってすぐは緊張状態が続いているので、疲労困憊であることに自身が気付いていないのだ。撮影中もそうだが、午前0時頃に宿舎に戻ってから、酒を飲み始めて2時過ぎまでしゃべっていたりする。

それが撮影終了から10日ほど経つと「ちょっと疲れているなあ〜」と思えて、夜も早めに寝てしまう。それが日に日に悪化して、数日後には寝たきりとなる。部屋から出ることもできず、起きて飯食って、また寝るという感じ。医者に言わせるとそれが過労。サラリーマンが朝、元気に「いってきま〜す!」と家を出て夜、奥さんに電話。「ご主人が死亡しました」「えー朝、元気だったのに〜」というのが過労死。

極度の緊張で疲労困憊に気付かず、体がボロボロで死に至るということ。僕の後輩監督(30代)も同じ症状で死んでいる。前の日の夜まで元気で「また、明日〜」と言ってスタッフと別れた。翌朝、来ない。スタッフルームに行くとそこで死んでいた。よく知る後輩で本当によく仕事する奴で、監督なのにあらゆる仕事をしていた。5人分くらい働いていただろう。そんなふうに過労死というのは、誰から見ても元気なのに、コロッと逝ってしまう。

僕も毎回、医者から「休まないと過労死するよ」と言われるが、休める訳もなく撮影を終える。そのあと恐怖がやって来る。先に書いたように最初の10日ほどは元気。でも、次第に緊張が解けて来ると恐怖の扉が開き出す。そこから疲労困憊というヘドロのような悪霊が溢れ出して来るのだ。これがよくある疲労で「あー疲れたー」というのならいい。そうではなく、心も体も奈落の底に引きづり込まれるような感じ。

集中力が低下。テレビも見れない。もちろん、パソコンもダメ。メール書く気力もなくなり、電話にも出れない。近所のコンビニまで行く力もなくなり、ひたすら寝る。後輩が心配して「いいにくいですが、監督は鬱病じゃないですか?」と言われ、心療内科に行ったこともある。そうしたら「過労」と診断された。が、まるで鬱病。何もできなくなる。精神的に肉体的に極限を超える状態が長期間続いたために過労となるらしい。

と話しても、ほとんどの人は想像できない。何もできない状態なんてありえない!と何人もに言われた。そして過労の状態をどう説明すれば分かってもらえるか? 何度経験しても僕自身もうまく言えない。あえて言えば、先に書いたように扉が開き、ヘドロのようなものが押し寄せて来て、飲み込まれる。(シャイニングみたい?)そのまま地獄に引きずり込まれるような感じ。

何もする気がせず、寝てばかり。「青い空」のときはそれが数ヶ月続き(あのときは4年準備期間があったし)自宅入院状態が続いた。過労は病院で治療できるものではなく、ひたすら休むしかない。が、意外に理解されない症状で「怠けている」「ダレている」というふうに言われてしまう。それで本当に死んだら「あー本当に過労だったのね?」と理解されるのだろう。

だから、ダウンしてもなるべく言わないようにする。症状がさほど重くなければ、Facebookの記事くらい書けるし、テレビもドラマは見れないが(集中力のいらない)バラエティなら見れる。そこからリハビリ。毎日、Facebookの記事を書くとか、DVDを見るとかして日常生活を取り戻して行く。

しかし、本当に過労の最中は地獄だ。単に体が疲れているだけでなく、心も疲れていて、このまま死んでもいいか....と思えてくる。食欲もなく、何も食べてないでも平気なので、酒ばかり飲んで、、墜ちるとこまで墜ちるか・・・なんて弱気になる。

病気になると、性格が変わるとか、弱気になるとかいうが、それが実感される。生きて行く気力がなくなる。でも、少しずつ元気なると、また、がんばるか。。。と思えるのだが、過労は恐ろしい。と書いても実感できる人は少ないだろう。分かりやすく言うと、1週間働いたら1日休む。1ヶ月働いたら4日休む。

それをしないで1年働くと、その分、強制的に48日(日曜日の1年分)くらい動けなくなるというのが過労だろう。実際、僕は4年ほど休まずに仕事したのだ、5ヶ月ほど寝たきりとなった。計算が合っている。今回も編集作業開始が目前。いつまでも倒れてはいられない。


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