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撮影が終わったとたんに、空はもう秋の雲 [9月ー2017]

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帰京して数日、ダウン。眠り続けた。時々、起きて部屋にあるものを食べる。買い物に行く元気はない。飲んで食べたらまた寝る。

毎回のことだが、撮影直前にはもう疲労困憊となる。1年以上前から1人で5−7人分の仕事をするからだ。それを人を雇い、通常の人件費を払っていたら、映画製作の通常予算ー7千万から1億円近くーになってしまう。だから、休みなしで何人分も働く。製作費の倍、3倍の中味ある作品にしたいからだ。5千万の予算を普通に使えば5千万の映画にしかならないが、1人が2倍がんばれば1億円の内容の作品にすることができる。

でも、そんなことをしていると、いつ倒れてもおかしくない状態になる。今回は撮影の数週間前でそうなっていた。子供の頃から下痢なんてほとんどしなかったが、今回は1週間ほど下痢が止まらず、立っているのが精一杯という時期もあった。そんな日に限って朝から5人と会い打ち合わせ。疲れた顔をして心配もかけられない。1日が終わると、自分でもよくもったと思えるほどだった。ストレス性の下痢だったと思えるが、食欲がまるでなくなり、一気にダイエット?

そんなことがあって、猛暑の撮影がスタート。朝5時起き、終了は0時前。そんな日々が2週間続く。苦労話をしたいのではない。それが監督業なのだ。そして製作費が十分になかったからとか、撮影日数が足りなかったからとか、睡眠時間が取れなかったから....という理由で「いい映画が出来なかった」と言ってはいけない仕事なのだ。

どんな状態で、どんな状況で、どんな体調で撮影をしても、それなり以上のものを作るのが映画監督の責任。この記事は映画業界に憧れる人も多く読んでくれているので、まずそのことを書いておきたい。ただ、面白い現実もある。製作費が豊富にあり、撮影期間も十分、体調も最高で映画を撮影すれば、最高の映画ができるか?というと、そうとは限らない。ハリウッド映画を見れば分かるが、超大作で、製作費1000億円、撮影期間6ヶ月という作品でも大失敗作は多い。

それに対して低予算で作られたアメリカン・ニューシネマには傑作が多い。日本でも低予算のATG映画には名作がたくさんある。どういうことか? つまり、映画は最高の環境だから最高の作品ができるとは限らないということ。もちろん、製作費のかかる大型戦争映画を撮るのに、あまりもの低予算では無理だが、予算+撮影期間+体調=作品の出来とはならないことが多い。

スピルバーグは何百億円もかけた「未知との遭遇」や「1941」より、通常作品並みの「ET」がメガヒットしている。その意味で今回はいろんな面で厳しいものはあったが、これまでで一番評価される作品になりそうな気がしている。映画とは不思議なもので、大変な状況で名作が誕生することがある。今回はそれであるような気がしている。早く復活して編集にかかりたい。季節は暑い夏が終わり、秋がもうそこまで来ているようだ。


撮影後ポスターモノ3(横.jpg
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