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【地域映画が成功しない理由? 他力本願が町を滅ぼす〜あれもできない。これもできない?】 [2月ー2017]

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【地域映画が成功しない理由? 他力本願が町を滅ぼす〜あれもできない。これもできない?】

地方活性化のために、地元を舞台にした映画を作るという活動。その辺の相談をときどき受ける。町の人に会い、話を聞くと問題点が見えてくる。あるとき、ある町で町おこし活動をする年配の男性と話した。
「この町は観光地でもなく、有名な史跡や寺もないんです。でも、映画撮影がされれば町をアピールすることができる。観光客が来てくれる。『寅さん』や『釣りバカ日誌』のような映画が来てほしいんですよねー」

確かに全国公開される映画の舞台となれば、大きな宣伝になる。対費用効果も何億円にもなる。そんな映画撮影を誘致したいというのは分かる。が、先に上げたようなメジャー映画はそれなりに有名な町でしか撮影しない。本当に何もない田舎町で撮影して「次回作の舞台は***市」と宣伝しても、観客にアピールしないからだ。

北海道とか、有名な温泉地とか、古都とか、それなりに絵になり、由緒ある町で撮影してこそ、観客はその映画を見たい!と思うのだ。そう考えれば、そんな大作映画のロケがその町に来る訳がない。が、その人は「そんな大型企業映画が来てほしいんですよねー」と訴える。

そこで映画界の事情を説明。有名な映画を誘致するのはむずかしい。でも、低予算の映画であれば、製作費の一部を負担するとか、安く泊まれる宿を提供するとか。いろんなメリットを提案すれば、興味を持つはずだと。だが、その人はこういう。

「低予算の、誰も知らない映画が来てくれても、あまり宣伝にはならないですよね? やはり全国公開される。有名俳優が出た映画の撮影でないと意味がないんですよ」

呆れた。自分の町には何もないことを知りながら、大手映画が来てくれることを願う。低予算でもそれなりの宣伝に繋がるのに、一発で大きな成果が上がる大手でないと嫌だという。彼は続ける。

「それとも国が補助金や支援金を出してくれて、それで映画を作ればいいんですけど、なかなか、そんな制度もないんですよ」

???? その人の話を聞いていると、自分たちは何もせず、国や映画会社に何かしてくれ!といっているように聞こえる。自分たちで努力すること。何かないのかと訊くと、

「いやーワシらもがんばってますよ。市役所や商工会議所に映画ロケの誘致するように頼んだり、地元出身の議員先生に、映画製作の補助金はないか? 何かそれなりのものを持ってきてくれないか? 何度も陳情に行きました。映画会社に資料を送って、ロケをお願いしたこともあります」

んーーーだんだん、イライラしてきた。で、こう訊いた。自分たちで製作費を集めて、映画を作ろうとか、一部製作費を投資するから、ロケに来てほしいという交渉はしないんですか?

「だって、この町は金ないから、誰もそんな余裕はないよ。市役所も何もしないし、商工会も動かない。地元産業はダメだし、工場誘致も失敗。農業もダメだし、あとは観光で稼ぐしかない。そもそも、金があったら、映画なんか誘致しないよー」

 その人の考えを一言でいうと「他力本願」自分たちの町は経済的に大変だから、国や映画会社が地元で映画を作り、町の宣伝をしてほしいと言っているのだ。そして、自分たちは金がないので何もできない。哀れな存在だと主張する。何の努力もしていない。


その町で他の人たちとも話をしたが、ほとんどが同じ考え。次第に分かって来た。その町は経済的に大変といいながら、田んぼの中に豪華なコンサートホールがあったりする。他にも美術館があるが、客はほとんどいない。でも、維持費が大変で、それも町の財政を苦しめているという。これで分かった。

つまり、この町は10年ほど前に、代議士さんたちに頼み地元活性化のために、コンサートホールや美術館を建てたいと陳情した。それが実現、80%近くが国の補助金で立派な建物ができた。が、客は来ない。維持費が大変。「どーしよう。映画で町おこしが流行しているらしい。大手の映画が来てくれれば宣伝になる。うちの町の来てくれないかな? よし、議員先生に頼もう」....という流れなのだ。

その町に限ったことではない。多くの地方は自身で努力せず、地元の議員に陳情し、国の補助金や支援金をもらおうとする。が、美術館を建てても、建設時にゼネコンが儲かり、多少は町も景気がよくなるが、完成すれば維持費で苦しむ。そこまで考えずに流行りに乗ってしまう。国や議員に頼るばかりで、自分たちで何かをしようという気がない。

「いやーそんなことないですよ。議員先生にお願いに東京まで何度も行きましたよ。仕事休んで皆で。大変でしたよ〜」

もー嫌だ。考えれば自分たちで映画を作ることだってできるのに「補助金だ」「大手の映画だ」なんていっているからダメなんだ。が、その人がそんな考え方をするようになったのも分からないではない。

日本の行政は、中央で決め、それを地方に押し付ける。地方は考えなくてもいい。政府が決めたことを守っていればいいというシステム。黙っていても中央から補助金や支援金がもらえるが、決められた使い方しかできない。つまり、何十年も間。言われたことしかしていない。だから、何かあれば、陳情して、金を出してもらう。国や映画会社に何とかしてほしい。と頼むことしか思いつかないのだ。

もちろん、自発的にいろんなことを考えて実践している町もある。が、他力本願で自分たちは何もしないで、「困ったなー」と言っている町がほとんど。町おこしの問題だけではない。就職を控えた若い人たちも同じ発想をしている。

自分は努力せず。何ら特別な技術や能力がある訳でもないのに「就職は有名企業がいいなー。誰も知らない会社に入るのは恥ずかしい」「どこか、オレを入れてくれる大手企業はないかな」なんていっている。
同じパターン。子供の頃から与えられたことをするだけの教育を受けて来たからだ。教育では言われないことをすると注意されることも多い。だから、与えられたことだけをする。何度も書くが「考える力」を育てない日本の教育。そんな子が大きくなると、先の年配男性と同じ発想になるのだろう。その人。最後にこういった。

「監督さん。どこか大手の映画会社をまわって、この町で映画撮影してくれるところ探して来てくれませんか? ワシらがいうより、効果あると思うんですよ」

 どこまで行っても「他力本願」とても映画作りまで行かない....。町おこしもむずかしい。何かというと市役所が...商工会議所が....議員の先生が....企業が....と自分は何もしないで頼ろうとする。僕が手がけた映画でその辺の組織が役に立ったことはまずない。いつも市民の力で映画を完成させた。なのに多くの街の人たちは自分たちの力を知らず、理由をつけて逃げ回る。これが地方での現実なのである。




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